批判する権利について思った事

10

先日、佐藤大地さんという方のブログの以下の記事を発見し、大変感銘を受けました。

これをTwitterでポストしたところ、某のアカウントでは珍しく、大量のRTとFAVがついたのです。

みんなが(少なくとも某のフォロワーさんや、更にその先のフォロワーさんは)これに反応してるってことは、ひょっとしたら人類の意識に新たな革命が生まれる日も近いのではないか。

そんな事を思ったので、今日はそんな内容の記事を書きたいと思います。

99260ddc

ちなみにこちらがポストした翌朝キャプチャした、Twitterの画像。
某のアカウントでは、こんな風に話題の記事をポストする事が多いのですが、
普段はこんなに反応がないので、とても意外でした。

単にハブになってる人が拾っただけかもしれませんが某は「これは何かある」と感じました。
その何かについて考えたいと思います。

スポンサーリンク

何故「議論は粗探しの為にするものでない」と語るの記事がこんなに拡散されたのか

佐藤さんの記事の内容は、ある本の内容についての批判を、大学で教授に話した時に、「著者の言いたい事を理解した上で、不十分な部分があったら指摘する、というやり方にしないといけない」というような事を言われたという体験談でした。

この言葉を聞いた時、著者の佐藤さんは、

「自分は、揚げ足取りや、荒探しをして喜んでいる子供と同じ」と気付いたのだそうです。

「議論は、改善や進歩の為にするものであって、幼稚な楽しみの為にするものではない。」
「誰かに意見したくなった時は、相手の意図を理解しようとしたかと、自分の胸に聞いてみてからにしよう。」
この記事は、体験を通して得た、素晴らしくも耳に痛い意見を届けてくれました。

大変良い記事です。
ただ上でも書いたように、某には反響の多さが意外でした。
想像ですが、読んだ人が「ふーん」程度で流せない内容だったという事なのでしょう。
何故この記事は、「ふーん」で流されなかったのでしょうか?

毎日誰かが攻撃される様を当たり前に目にしている

佐藤さんの記事では、揚げ足取りのような意見の事を、「批判」「減点」「暇つぶし」といっていましたが、ここではあえて「攻撃」や「暴力」と表現しましょう。

我々は、毎日、色々な人が色々な物を攻撃する様子を目にします。
個人、出来事、事件、政治、経済、社会問題、思想、宗教と対象は様々。

「あいつらはバカなんじゃないか」「こんなものはない方がいい」「しね、きえろ」

このような攻撃は、ネット上の匿名でのやりとりの場に限らず、友人同士の語らいの場や、一家団らんの場でも頻繁に見ることができますし、止める人もあまりいません。

止めたりしたら、逆に「空気読めない」とか「ノリが悪い」と言われる事さえあります。
それほどこういった攻撃行為は、我々の身近に、自然な行為として浸透しているのでしょう。

積極的に敵を作り出しては攻撃する側に回ろうとしている

なぜ我々の周りには攻撃行為があふれているのでしょう。

以前紹介したこちらの記事では、著者のFelix清香さんが

「問題に対する自分の態度を即断し、違う態度の人を攻撃してしまう。」

というような事を書いておられ、某も思い当たるところが多々ありました。

日常的に攻撃行為を見る我々は、それを当然の事ととらえていますし、参加する事にもあまり抵抗が無いのではないでしょうか。
むしろ、攻撃するための敵を積極的に生み出しているのかもしれません。

マンガでも映画でも、ストーリーがあるモノは、その殆どが敵をやっつける話ですし、スポーツや、ゲームも敵を倒して勝ち上がって行くものが多いです。
日常の世界でも、何かしらの価値を基準にして、勝ち負けを決める行為をよく見かけます。

おそらく、攻撃という行為は、人に快感をもたらすからやってしまうのでしょう。
一時の快楽を得るために、我々は無意味に敵を作り出しては、攻撃する側、優勢、勝利者の側に回ろうとするのを繰り返しているのではないでしょうか。

一時の快感の為に生きづらい社会を作っている

我々が、一時の快感を得るために、あちこちで攻撃行為を繰り返していると、社会というところはどんな場所になっていくのでしょうか。

個人的な話になりますが、某はいわゆる同性愛者であります。

異性愛が主流の社会の中では、同性愛者の人間は、生きづらさを感じる場面が多々あります。
パートナーと法的に家族になれない事、好みの異性のタイプを聞かれる事、あらゆるメディアで異質な存在と扱われる事、愛は異性愛者だけのモノであるかのような表現が当たり前にされる事、社会の中の当たり前に、色々な形で傷つけられています。

それらを止めて欲しいと周囲に伝えるには、「自分は同性愛者だ」と公言しなければいけませんが、これをするかしないかの選択でも、相当悩むのです。

なぜ悩むのかといえば、「あいつホモっぽいよなー」と悪口として言われるのを聞いたり、ホモネタというギャグのジャンルの一つにされたりと、自分たちが社会の中で、どういう扱いを受けているかを、日常的に目にして知っているからです。

自分たちの持っている個性が、攻撃の対象になる事をよくわかっているのです。

これは同性愛者に限った話ではありません。
ほんの少しでも、人と違うと攻撃されるのが当たり前の社会では、攻撃されない為に、何かを隠している人はたくさんいるはずです。

やっている仕事を言えない人、通ってる学校を言えない人、趣味を言えない人、家族の事を言えない人、心身の状態を言えない人、困り事を言えない人、「フリーターやってます」、「Fラン大です」、「オタクです」、「身内にニートがいます」、「うつ病です」、「借金があります」他にも色々あるでしょうが、どれも攻撃する必要も隠れる必要もないモノばかりです。

また、攻撃の対象になるものは、隠せるものだけではありません。
性別、容姿、年齢などが対象になる光景もよく見かけます。
もはや、攻撃の対象にならない要素など、一つもないのかもしれません。

攻撃という行為は確かに、快感を与えてくれます。
でも、その快感を得ようとすればするほど、自分たちの暮らす社会を、生きづらい場所にしているのではないでしょうか。

こんな事は愚かだと気付き始めた

攻撃の対象にならない要素が一つもないのならば、我々は常に自分を構成するすべての要素を攻撃される事になります。

ほんの一瞬いい気分になる為に、何かを攻撃する、またはそれを許すという事は、自分の要素が常に攻撃される社会を作る事に繋がります。
そんなのはどう考えても割に合いません。

佐藤さんの記事が大きな反響を呼んだのは、みんながその事に気付き始めたからなのではないかと、某は考えています。

ネットが発展した今、我々は、自分の考えを発信する機会も、他人の考えを知る機会も、爆発的に増えました。
そしてそれらは、すべてログに残り、いつでも見る事ができます。

これまでは、発信した瞬間からあやふやになって忘れられていった攻撃が、いつまでも鮮明に残るようになったのです。

これにより我々は、新旧問わず自分の持つ要素が攻撃対象になった発言や、自分が誰かの持つ要素を攻撃した発言を、後から客観的に見る事ができるようになり、その有害さに気付けるようになったのではないでしょうか。

これから社会は大きく変化する

誰かを攻撃して、何かを奪い、それが自分の利益になっていた時代は、大変長く続きましたが、もうまもなく終わるのだと思います。

先ほど書いたように、攻撃行為が可視化される事によって、不利益を実感しやすくなった事もその要因の一つになるでしょう。
そのうち、そういう無益な行為は愚かだという意識を、全体で共有するようになる日も来るはずです。

また、我々は現在、不快な情報を発信する人や、媒体を避ける事を普通に行っています。
情報が消費しきれない程溢れかえっていて、不快な情報に費やす時間がないからそうするのですが、これと同様の事が、いずれあらゆる分野で起きてくるのではないでしょうか。

今後、科学技術が発展していけば、人間は何もしなくても生きていける日がくるでしょう。

農業も、工業も、接客も何もかもを機械がやってくれれば、人間は、嫌な人と一切関わらずに過ごす事ができます。
ボディーガードのような役割をしてくれるロボットもできるでしょうから、犯罪に合う機会も殆どなくなるはずです。

そうなると、嫌な奴をやっている人間は、どんどん避けられ孤立してしまうので、多くの人は、人に嫌われるような行動を自然にとらなくなっていくのではないでしょうか。

このような変化の兆しは、既にあちこちで見掛ける事ができます。
先ほど書いた、嫌な奴をフォローしない事もそうですし、イスラム国への対策は、無視が有効であると言われている事なんかも、そうなのではないかと思います。

何かを攻撃する行為が無益とされ、誰もが嫌なモノから離れられる世界が、どのようなモノになるのかはわかりません。
でもきっと今よりはずっとマシなはずだと思います。

まとめ

たぶん、我々は、自分たちがお互いに攻撃し合う事で、自分たちの暮らす社会を、自分たちが生きづらい社会にしてしまっていると気付き始めている。

いずれ、攻撃する行為は無益という事が共通意識になる日が来る。
また、他人と関わらなくても困らない世界がやってきて、誰もが嫌なモノをどんどん避けるようになる。
そうするとどんな事が起きるのかはわからないけど、きっと今よりマシな社会のはず。

某は、それが来るのはきっと思うより早いと思いますし、早く気て欲しいと願っています。
その為にできる何かがあるなら、やりたいと思うでござるですよ。

にゅんにゅん。

スポンサーリンク